大判例

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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)2727号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕二、原告らの蒙つた損害

(2) <証拠>および弁論の全趣旨によると原告芳子は本件事故発生当時二八才の健康な女子で、前記桑原モーターで事務を執る一方、原告鼎一郎と平穏な家庭生活を営んでいたものであるが、激突の際、前部ガラスで左手掌を強打して内出血をみ、バックミラーで額を打つたので、直ちに江東病院を訪れたところ、頭部外傷、左手関節挫傷との診断をうけ、同日から昭和四一年二月一六日まで五日間にわたり同病院に入院し投薬、湿布等の治療と脳波検査をうけ、症状軽快したので退院し、その後同月一七日文京区内の脳波クリニック直居診療所で脳波再検査をうけたほかは、自宅療養に専念した結果同月末頃までには概ね完治したこと、この間前記事務をとることができなかつたし、家事をすることもできなかつたばかりか、治療費、交通費、入院雑費等に少くとも一万四一六〇円を支出したことが認められる。

(3) 叙上事実のほか、<証拠>、弁論の全趣旨によつて推認しうる被告らの不誠意な態度(当裁判所は元来慰謝料算定にあたつて、当事者の態度等主観的事情を重視するべきではないと解するが、本件にあつては、被告側の重大な過失によつて事故を惹起しながら、被告らは入院した原告芳子を見舞うことさえせず、却つて原告側の運転方法を云々し、また事故原因が明白で原告らの要求賠償額が必ずしも高額でないのに、事故発生から本訴提起まで二年余の期間にわたり、任意に賠償しようとする態度がなかつたこと等、被告側の態度が著しく誠意を欠くものであることが推知され、加害者側からかような態度に出られた場合、被害者の精的苦痛は増悪化すべく、慰謝料算定にあたつてかなり有意的に考慮するのが、相当であると解する)および原告側には本訴において請求する分以外にも、本件事故により財産上の不利益を蒙つたことが推認されるので、これらを併考すると、原告芳子の蒙つた苦痛の慰謝料としては、八万円が相当である。(薦田茂正)

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